2015年11月23日月曜日

「SEALDs」からのスピーチ

《「世界子どもの日」トークイベントでの、「SEALDs」代表スピーチ内容をご紹介》

質疑応答の様子


こんばんは。SEALDsの山田和花といいます。
今日はこのような場でスピーチする機会をいただきとてもうれしいです。ありがとうございます。このような素晴らしい方々と共にここに居ること自体、なんだか夢のようです。私、小さい頃に夢中になって何度も繰り返し観ていたアニメがあるんです。今日この場にいらっしゃる高畑勲さんの作品「パンダコパンダ」が本当に大好きで、イベントの依頼をうけて即答しました。「やります!」って。深夜にうれしさのあまり寝ている母を起こして、興奮して「パンダコパンダ」についてマニアックに語っていた自分がいました。名前を出し、顔もだし、色々ありますが、こんなご褒美もある。「SEALDsでよかったな」と思ったことも事実です。うれしさと勢いで手をあげましたが、今日が近づくにつれて緊張は増し、実は本当に、本当に、緊張しています。でもがんばりますので短い時間お付き合い下さい。よろしくお願いします。

私はSEALDsの前身、SASPLの活動の後半から加わり、exSASPLをへてSEALDs結成当時からメンバーとしてデモに参加したり、国会前でスピーチや交通整備を行ったりしてきました。「デモなんて」とずっと否定していた自分が、初めてデモに参加した時の記憶はまだ鮮明に残っていて、当時の自分が国会前でまさかスピーチをする日が来るなんて思いもしなかったと思います。
衆議院の委員会強行採決がなされた翌日の7月16日の夜、私は国会前でスピーチをしました。国会中継なんて今までまったくといっていいほど興味がなかった私にとって、目の前の茶番劇は、目を疑いたくなる場面ばかりでした。委員長はロボットのように台本を読み続け、質疑ではオウム返しのように魂のこもってない言葉が並ぶ。中身の無い言葉ばかりをひらべったく組み合わせ、のらりくらりと、はぐらかす。採決の声に反応するように与党議員の多数が立ち上がった時の印象は、まるで自分の意思がないロボットと思える姿ばかりでした。小さい頃から戦争はいけないものと誰もが教わってきたのに、戦争は誰もしたくないはずなのに、この国の最高機関である国会がなぜ戦争ありきという前提で議論をスタートさせているのでしょうか。
誰かの命の犠牲の上で、成り立つ平和を私は平和とは呼びたくないのです。私が望むこの国の未来は、日本にしかできない平和への道を諦めず模索する成熟した国。命を大切にする国そんな姿なのです。

私には、自分の中の軸として大切にしている感性や倫理観があります。それらは小さい頃に読んできた絵本などから、強く影響されていると思います。
幼稚園にあがるまでの私は絵本が大好きで、何度も何度も同じ絵本を読み、次の内容は読まずとも思い浮かぶぐらいだったそうです。今でも大好きな絵本は手元に置いてあって、中のページがボロボロだったりします。だいぶ手放してはしまいましたが、この本だけはと残しておいた絵本を、今回、スピーチの原稿を書くことをきっかけに見直したりもしました。手元に大事に残したそれらの絵本は、不思議と、笑えるお話やなぞなぞ等ではなく、とても悲しい話の絵本ばかりでした。


「かわいそうなぞう」もそのうちの一つです。今日はここに一緒に持ってきました。この本は母から小学校一年生の誕生日にプレゼントで貰った本です。誇らしげに覚えたての漢字で自分の名前が書いてあります。母が同じように子供の頃、この本に出会い心揺さぶられ、子供が生まれたらこれだけは読ませたいと思っていた絵本なのだと後になってから知らされました。

当時の私は、「なぜゾウを殺さなければならないのか?」となきじゃくっていたようです。自分でも遠い記憶のなかでそれが確認できます。今でも読み返すと泣いてしまいます。戦争は人間だけでなく生きとし生けるものの命すべてを巻き込み殺すことを許してしまうものなんだと、幼いながらも確かに理解したのです。想像したのです、ゾウだけでなく他の動物園の動物たちの苦しみを。食糧や水を与えられずに死んでいったゾウが食べ物をおねだりする格好で死んでいるという描写から最後までゾウは人間を信じていたんだということを。単語でしか想像ができない見たことのない「戦争」という言葉から、すべての命より優先されるそんな理不尽さと恐ろしさを感じたのです。

それでも、「それしか方法はなかったのか?」「どうして殺すしかないって諦めてしまったのか?」「どうやったら死なずにいれたのか」というアナザーストーリーを必死で考えて、私はもてる想像力を広げる努力をしました。絵本は想像する力を与えてくれる。そう思っています。自分だけのアナザーストーリーを作る事。それが今の私たちに欠けてしまっていることではないでしょうか?
積み上げられた間違った常識によって想像することを止めてしまうことを私は一番恐れます。なぜなら、常識とは知識が常にあるだけで、その知識は正しい知識とは限らないから。ただ単なる多数が信じている知識でしかないからです。

あの時にあの絵本に出会えたことが今の二十歳の私の深い潜在意識の中でこの行動を起こさせている一因になっていることは間違いないと思うのです。私のひいおばあちゃんは実際、戦争を生きた人で、当時、子供だった祖母に口頭で戦争の悲惨さを伝えたのかもしれません。祖母はその想いを二度と繰り返してはならないと動物を好きな私の母に絵本を通じて想いを伝え、強烈に心を揺さぶられた私の母は、私にこの絵本をプレゼントしてくれたのです。大切な想いと共に。
その想いのバトンが私の感受性に触れて、今の自分の一番の願い「よりよい未来を次の世代に引き継ぐこと」に繋がりました。3.11の震災の後、原発事故をうけて、当時、高校生だった私は、「ただちに人体に影響はない」という政府の発表に疑問を持ちました。「ただちにとは、どういうことなのか?もしかして後々にはどうにかなってしまうのだろうか?」と。広島でも長崎でもチェルノブイリでも当時被ばくしていない世代が苦しんでいるという現実を知り、どうしてなのだろう?という疑問がわきました。
その中で知ったことがあるのです。「卵母細胞」といって、私という卵は祖母が母をお腹に宿したときに既に作られていたということを。
今の私は、祖母がどう生きたかでつくられたのだと。では、今の私がどう生きるか?それはきっと未来の私の孫までかかわることなのだ。私の命は、私の人生は、私一人のものではないのだと知ったのです。私は祖先の人に、祖母に感謝をしたのです。

自分がどう考え、どう生きるのか。それを問い続け、伝えていくことこそ社会を存続し、また変えていくことなのではないかと。遺伝子の暗号にもきっとその思いは組み込まれているのじゃないかな、今の私の生き方もきっと未来へのメッセージとして組み込まれていくのじゃないかなと信じて疑わない自分がいます。だから思いを伝え、願い続けていきます。
想いは伝えなければ、途切れます。どうか小さな声でもいい、隣の大切な人にだけでもいいから発してほしいのです。

最後に、ナチス広報担当相の「嘘も百回繰り返せば真実になる」という有名な言葉があります。まさに、権力者側の常識を作り出すためのそんな考えです。
でも、私は、その逆も通じると思っています。
私たち側だって、どんなに挫折しても、どんなにがっかりしても、どんなに裏切られても、繰り返し言い続ければ真実にできる。
そう思いませんか?
権力者が、百回なら、市民の私たちはその何倍も何十倍も言い続けなければならないと思います。でも言い続けていけば仲間が増えます。影響力も拡がっていくと思うのです。

だから、私は言い続けます。

「本当に止める」


戦争に進むこの国を、本当にとめる。
憲法を変えて独裁をしようとするこの国を、本当に止める。
止めるまで言い続けます。

自分の代で止まらなくても、思いを伝えて生きていきます。
諦めずに伝え続けていきます。
この国が立憲主義を取り戻すまで。
世界中の戦争が本当に止めるまで。


今日は、ありがとうございました。



2015年11月22日日曜日

「安保関連法に反対するママの会」からのスピーチ

「世界こどもの日」トークイベント
11 月20 日は国連が定めた「世界こどもの日」です。「児童の権利に関する宣言」と「児童の権利に関する条約」が採択されたこの日に、フォーラムの原点に立ち返り、これからの活動を再確認する意味を込めて、日本出版クラブでトークイベントを開催しました。題して「私たちは「立憲主義」と「民主主義」を取り戻すまで活動を続けます」。参加者は270名。アニメーション監督の高畑勲さん、「安保関連法に反対するママの会」代表の方、「SEALDs」の山田さん、児童書作家たちのスピーチに熱心に耳を傾けていました。

©はたこうしろう

【プログラム】 
第1部 スピーチ   高畑勲氏(アニメーション映画監督)
           「安保関連法に反対するママの会」
           「SEALDs」
第2部 リレートーク)那須正幹氏(作家)
           あさのあつこ氏(作家)
           長谷川義史氏(絵本作家)
           伊勢英子氏(絵本作家)
           村上康成氏(絵本作家)
           柳田邦男氏(評論家)




《「安保関連法に反対するママの会」の方のスピーチ原稿をご紹介します》

今日はお招きいただきありがとうございます。
安保関連法に反対するママの会の3歳の息子を持つママです。

ママと称される女性たちは、人生の新しいステージで、がむしゃらに日々を送っている世代です。

出産・家事・育児と仕事だけでなく、近年は介護を抱えるママもいます。

そんなママの集まりですから、スピーチのお話しをいただいても、都合がつかず、幾つかは、やむなく辞退させていただいているのが現状です。

でも、この機会だけは、子どもたちの絵本の作り手が、子どもたちの未来を語るために集うこの機会だけは断りたくないと思い、私は、いま、ここに立っています。

私は、これまで、スピーチをしたことはありません。
7月26日 2千人のママが集まった「ママの渋谷ジャック」にすら行けていません。
なぜなら、家族の、もっとも理解し会いたい相手、パートナーの、理解を得られていないからです。
これまで顔を出して第一線で頑張っているママなどがいらっしゃるなか大変申し訳ないのですが、そのような事情で、このスピーチにおいては個人が特定できる情報は、snsでアップしないで下さい。

「安保関連法案に反対するママの会」は、「だれの子どもも、ころさせない」。この合言葉を一致点に、あつまったママたちの会です。
 所属や思想信条、支持政党も問いません。
 「Facebook」で、この会を立ち上げた発起人、西郷みなこさんは、京都在住・3児の母です。
署名サイトを開設し、翌日までに600人、10日で2千人とみるみる膨れ上がり、現在、署名は2万3千筆です。
フェイスブックを通じて集まった13人のママたちは、7月、初めてのミーティングと記者会見をし「ママの渋谷ジャック」ハチ公前街頭宣伝&デモを行うことを発表し、マスコミにも取り上げられました。
全国から集まった親子連れが「ママの渋谷ジャック」で「だれの子どももころさせない」と声をあげました。ハチ公前でスピーチにたったのは、新潟、千葉、神奈川、東京、京都、福岡在住のママです。
街宣、デモあわせて2000人の参加でした。翌月には「ママの国会大作戦!」として安保関連法案審議中の参議院議員会館にて、全国からママが集まり集会を開催。賛同メッセージ約2万人分を全政党に届けました。その後も、議員さんとピクニックをしながらお話しを聞いたり、毎週、国会前でコールをしたり、ママならではの方法で安保関連法廃案に向けて行動しています。

毎週金曜日、国会前でコールするママたちが見るもの、
そのママたちを見る者、いったい誰だと思いますか?

それは、修学旅行や、社会科見学に来ている子どもたちです。
金曜日平均1000人以上
多い時には1500人以上の
子どもたちが、議事堂から出て来て
正門前を通って帰って行くのです。
「ママは戦争しないと決めた」このコールは、
まさに、子どもたちへの約束だと思います。
ママの姿勢を本気を、そして未来への約束を、未来の主権者である子どもたちにしているのです。

戦争させない
子どもを守る
戦争させない
大人も守る
ママは戦争しないと決めた
パパも戦争しないと決めた
みんなも戦争しないと決めた
70年間決めてきた
戦争の道具作るのやめよう
戦争の理由作るのやめよう
だれの子どももころさせない

道を挟んで向こうの国会見学にきた小中学生の殆んどの子どもがコールに反応して、戦争させない、子どもを守ると、 手をふって元気な声でコールを返してくれるそうです。

私たちママは、なかなか自分の時間はを持てないかもしれません。
また、自由に出かけられないかもしれない。
でも、ママだからこそ知っていることがあります。

小さな命がお腹の中に宿る時、それはいくつもの奇跡の積み重ねだということ。
その小さな儚い命が10ヶ月、無事にお腹の中で育ってくれることは決して当たり前のことではないということ。
その命が、無事にこの世に生まれてきた時の苦しみと痛みと喜びの涙。
たった一つの命がどれほど重くてかけがえのないものなのかということ。
私たちは知っています。
その子が大きくなるまでの毎日毎日が一喜一憂の繰り返しであることを。
泣き叫べぶ我が子を夜明けまで抱いてすごしたこと。叱りすぎたことを寝顔に謝る夜も…。
そんな愛しい我が子が大人になった時、この国はどうなっているのだろうと、今、不安を抱えています。

先日、故郷である四国に帰省しました。

戦争を知っている私の祖母に聞いてみました。
おばあちゃん、最近のニュースをみていると、腹がたってしかたないの。この大人たちは、息子たちの未来を考えているとは思えない。
おばあちゃん、どう思う?と、

わっちゃあ、もうすぐ死ぬけん分からん…といいました。

息子を抱いた私は、
この子が戦争に行かにゃいけんかもしれんよ、と言いました。

戦争はいかん!と、祖母はいいました。

そして一言。
そう思うとってもええけど、キチガイだけにはなりなさんな…と。

キチガイだけにはなりなさんな…

おそらく、政治的な主張をして社会から白い目で見られるように、なってはいけない…と、いましめられたのだと思いました。

「戦争?まさか日本がそんなことになるはずがない」と、70数年前、戦争が始まる前も、皆そうおもっていたのではないでしょうか?

戦争は船にのってやってくるのではないと、あるママが言っていました。


戦争は、武器で儲かる人のために、国内から始まると言った人がいました。
法律を変え、マスコミを利用し、不安や恐れを煽り人々を分断させるのだと言う人がいます。


新聞やニュースをゆっくり読む時間のないママだって、
それが、今、始まっていると感じているんです。


武器で手に入るお金よりも軽い命なんて、この世のどこにもありません。

我が子だけではありません。私たちはだれの子どももころさせない母親たちです。
なので、地球の裏側のどこかで誰かが標的になる武器を作ること、そしてそれを輸出することによって潤う経済なんて母親たちは許しません。犠牲になってもやむを得ないいのちなんてこの世に一つもないのです。

70年間守ってきた平和国家としての歩みが、あんなおしくらまんじゅうで壊され、日本があの日から海外で戦争をすることができる国になったことをと、
みなさんは納得できるのですか?

もういい加減、物分りのいい顔はやめませんか。

おばあちゃんに戒められたって
私は、この口をつぐみません。
わが息子を守るため、だれかの子どもを守るため、
だれかの大切な人を守るため、そして、
だれかの子どもであるあなたを守るために、一人のママとして、できる事を続けます。

ママの会メンバー「3歳の子どものママ」

2015年8月27日木曜日

9月4日はちひろ美術館で憲法と平和について考えよう!

私たち「フォーラム・子どもたちの未来のために」は、特定秘密保護法の反対運動の中からうまれた子どもの本の作家、編集者、翻訳者、研究者による組織です。現在国会で審議中の「安保法制案」についても、「子どもたちに平和で民主的な社会を残そう」という立場から、きわめて憲法違反の疑いの強いものとして反対の意思表示をしてきました。そこで、私たちの考えをより深めていくためにも、この94日に子どもの本にかかわる人たちと一緒に「憲法と平和と安保法案について考える会」を持ちたいと考えました。
国会まで行くのはちょっと・・・という方も、ふだんなかなかそういう話ができなくて、という方も是非おいでください。場所は「ちひろ美術館」。
企画展「非戦70年 ちひろ平和の願い」を鑑賞し、憲法と平和について考える集いです。
参加要項は下記のとおりです。

●日時   9月4日(金) 午後4時~ (終了予定6時)
●場所   ちひろ美術館 東京
       177-0042 東京都練馬区下石神井4-7-2
TEL
03-3995-0612 / FAX03-3995-0680 
       西武新宿線上井草駅下車徒歩7

*参加ご希望の方は当日午後4時までにご入館ください。
受付でこのチラシのコピーまたは携帯・スマホの画面をご提示いただければ入館は無料です。

*まず、ご自由に「非戦70年 ちひろ・平和への願い」をご覧ください。
午後4時から、特別ギャラリートークを開催します。
午後時から、館内にてトークイベント「憲法・平和・安保法案を考える」を開催します。

〈スピーカー〉
伊勢英子氏(絵本作家)柳田邦男氏(評論家)浜田桂子氏(絵本作家)きたやまようこ(絵本作家)特別ゲスト 細谷亮太氏(小児科医)他

*作家、画家の皆さんは当日、ご自分の戦争や平和、安保法制案等に対する思いをイラストや文章にしてお持ちいただければ幸いです。文章はひとことから200字程度まで。イラストはA4サイズまで(モノクロでもカラーでも可)。作品は「フォーラム・子どもたちの未来のために」のブログ等に使わせていただく場合があります。

【主催】「フォーラム・子どもたちの未来のために(有志)
     呼びかけ人: 岩崎弘明(岩崎書店社長)
酒井京子(童心社会長)
大竹永介(講談社顧問)
野上暁(評論家)
降矢奈々(絵本作家)

【協力】ちひろ美術館

2015年7月15日水曜日

★緊急声明★

「安保法案」の強行採決に強く抗議します!
                2015年7月15日

私たち、子どもの本の作家、画家、研究者、翻訳者、編集者などで作る「フォーラム・子どもたちの未来のために」は、言論・表現の自由と戦争のない平和な世界を何より大切に考える立場から安倍内閣が推し進める「安保法案」の廃案を求めてきました。

しかしながら、大多数の法律の専門家による違憲の指摘や多くの国民の反対の声にも関わらず、安倍内閣は数の力に頼って、7月15日、同法案を衆議院特別委員会で強行採決するという暴挙にでました。
憲法違反の疑いの極めて高い法案を力によって押し通すということは、まさしく「民主主義」と「立憲主義」の破壊であり、「平和で民主的な社会」「自由闊達に意見の言える社会」を子どもたちに残していきたいという私たちの立場とはまったく相容れないものです。

私たちは今回の安倍内閣の暴挙に強く抗議しあくまでも同法案の撤回を求めます。

今後は参議院が良識をもって同法案を否決すること、政府与党がいわゆる60日ルールの適用をしないことを強く求めるとともに、法案の撤廃まで私たちも抗議の行動を続けることをここに表明します。



「フォーラム・子どもたちの未来のために」実行委員会
絵本学会
絵本作家・画家の会
童話著作者の会
日本国際児童図書評議会
日本児童図書出版協会
日本児童文学者協会
日本ペンクラブ子どもの本委員会

2015年7月14日火曜日

【緊急アピール】

子どもの本に関わる私たちは、平和な未来と言論・表現の自由を奪う安倍内閣による「安保法制案」強行に(断固)反対します


                               20150706

 現在国会で審議中の「安保法制案」に対して、反対の意見や「慎重審議」を求める声が急速に広がっています。
私たちは、国の防衛、安全保障に関してさまざまな意見のあることを承知していますが、どう解釈しても、戦力不保持、武力不行使を定めた日本国憲法の精神から、他国への攻撃に対して日本も参戦できるとする「集団的自衛権」の行使が導き出せるとは考えられません。事実、将来的な改憲を支持する人たちも含め、圧倒的多数の憲法学者、歴代内閣法制局長官、弁護士等の専門家から、今回の法制案やその手続きに対して、明白な憲法違反という指摘がなされています。
しかし、安倍内閣はこうした批判や危惧に耳を傾けるどころか、歴代最長の国会会期の延長を強行し、数の力を借りて法案の成立を企むと共に、国民の批判の高まりを恐れて、マスコミに対する露骨な攻撃を仕掛けています。
私たちは、子どもの本の創作、出版、研究に携わる者として、先の「特定秘密保護法」の制定に際して、これが子どもたちの、自由闊達に意見を言い合える社会への道を閉ざすものとして、反対の声をあげました。しかし、今や子どもたちの未来は、更に危機に瀕していると言わなければなりません。有無を言わさず銃を持たされ、戦場に向かわされるのは、若者たちであり、子どもたちです。
多くの犠牲を払ったあの敗戦から70年を目前にして、戦後日本が国是としてきた平和主義の理念を乱暴に投げ捨てようとする「安保法制案」強行に断固反対し、子どもたちの平和な明日、言論・表現がしっかりと保障される未来のために、私たちは法制案の即時廃案を求めると共に、子どもと子どもの本に関わる方たちが今こそ声を上げることを呼びかけるものです。


フォーラム・子どもたちの未来のために

「特定秘密保護法」第2回学習会

 第2回学習会が76日の午後6時から専修大学で行われました。講師はジャーナリストの青木理氏で、講演タイトルは「特定秘密保護法がめざす“未来”像」。児童文学者や児童書出版関係者と専修大学の学生も合わせ110人ほどが集まりました。

 さて、秘密保護法を作ったのは誰で、いちばん「得」するのは誰なのでしょう。安倍政権なのでしょうか。官僚でしょうか。
「秘密保護法を作ったのは安倍政権。でも、民主党政権下『尖閣沖中国漁船衝突ビデオ流出事件』をきっかけに特定秘密保護法の大枠ができていた」と青木氏。その法律作成を主導したのは「内閣情報調査室」いわゆる“内調”と呼ばれる組織。総務、国内、国際、経済の4部門があり、内閣の情報機関という位置づけです。この内調のトップは「内閣情報官」で、このポジションには、歴代警察官僚出身者が就任していて、なかでも、「警備公安部門」の要職を歩んできた警察官僚の指定席になっているそう。

 秘密保護法で秘密に指定される情報は、外交・防衛・特定有害活動の防止に関する情報・テロ防止に関する情報の4分野とされています。そのうちの外交分野は外務省、防衛分野は防衛省、スパイ防止、テロ防止の2分野を警察組織が担います。
「『テロ防止』などという名目であれば、警察に関する情報のすべてが秘密に指定されてもおかしくない。原発の警備情報も、テロ対策の名目で警察情報のほとんど全てを秘密にできる。たとえば、自動車ナンバー読み取り装置=Nシステムは完全に特定秘密にされるでしょう。警察権力が肥大化し、治安維持も強化されます」

「情報を流せば罰せられると情報源が委縮、メディアも委縮。すると、世の中に流れる情報が減ります。物事を判断する材料も減ります。そして自主規制の波。この法律は明らかに人々を委縮させるもので、民主主義の根幹をゆるがすものなのです」

「安保法制と戦争立法がセットになったとき、さらに怖いことが起こります。例えば、アメリカの戦争に参加して戦死者が出たとき、新聞はどんな見出しをつけるのか。『もっと強い国にしよう』とは言っても、だれも『安保法案がいけない』とは言いませんよ。メディアも民も異論が言いにくい状況になる」
 
「ほかにも、みなさんが反原発、反消費税、などを唱えると、何でもテロリズムにつなげかねません。私が公安の内情を本に書いたり、こういった学習会を開いたりするのも、テロ活動とされて、処罰の対象になりかねないのです」


 この法律は今の世の新たな治安維持法になりうるもので、とても恐ろしく、危険なものであるということがよくわかりました。私たちの民主的な社会を守るため、子どものたちの健全な未来のためにも、引き続き廃案を求めていきましょう。